沖縄ラビリンス

一泊二日の沖縄取材から戻り一週間が経っても、まだ身体に沖縄のムードが居座っている。たかだか二日いただけなので沖縄時間が染み付いて仕事に遅刻するなどということはないにせよ、満員電車を一本やり過ごす程度のゆるさは残っている。ちなみに沖縄の地元のひとたちは「なんくるないさー」とは言わない。普通に「大丈夫よー」と言う。大阪のひとたちが「まいどおおきに」と言わないのと同じだ。

ちょうど沖縄に到着した日にYouTubeでMVが解禁されたモンドグロッソfeat.満島ひかりの「ラビリンス」を宿泊先のホテルの部屋で繰り返し聴いた。私にとってこの曲は、沖縄の旅と分かち難く結びつくことになった。もちろん満島ひかりが沖縄出身ということもあるし、タイトルの「ラビリンス」とMVのロケ地である香港の猥雑さが、那覇国際通り裏に連なるアーケード商店街の混沌とオーバーラップしてもいる。

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旅先の写真というものは、子どもやペットの写真と同様に、何枚見せられようが、というより見せられれば見せられるほど他人にとってはどうでもいいものである。楽しいのは概ね本人だけ。個人的な記録として…というエクスキューズすら糾弾されてしまうご時世だが、見えない誰かの顔色を窺いながら何も言えなくなっていくことほどアホらしいことはない。

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沖縄は梅雨入り後のため予報では曇り~雨だったが、着くなり快晴。雨男・雨女がいなかったからだと皆でよろこんだ。

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到着した時刻がお昼だったので、まだ何の仕事もしていないのにいきなりランチ。海が見渡せるイタリアンレストランでパスタとかピザとか。ご褒美のような仕事。「たまにはこういうことでもないとやってられないですよ」と編集。

取材・撮影を終え、夜は竜宮通り入口にある「小料理 小桜」で晩御飯。

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「小桜」は創業62年、2階建ての建物はほぼ創業時のままという。竜宮通りの看板にある「社交街」とは、この辺りの言い方で「オトナの夜の店」が多く集まるエリアを指す。この先に「桜坂社交街」があり、竜宮通りはその入口として、割烹や小料理屋が軒を連ねた場所だという。国際通り沿いは観光客相手の店が並び原宿竹下通りの様相を呈しているものの、どこの街でもそうだが、やはり表通りから一、二本入った細い通りが面白い。

小桜一階の狭いカウンターに肩寄せ合うように座りながら飲む。お通しのもずく酢からして美味しい。そして東京ではまったく美味しいと感じないオリオンビールも沖縄の気候のなかでジョッキをあおるとしっくりくる。島らっきょうだけで何杯も飲めそうな気がする。


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しかし、同行のカメラマン氏の酒癖の悪さを知っているため、名残惜しそうな氏を尻目に深酒せずに切り上げる。「えー、さくらいさん前は日本酒ガンガン飲んでたじゃない。どうしたんですか」とボヤいていたが。本当はひとりで店を探し歩きたい気分だったが、時間も時間なので断念。ホテル階下のローソンで缶のオリオンと沖縄限定・明星の沖縄そばを買って帰る。

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二日目の朝。またしても快晴。ホテルの朝食はナシにしてあったので、チェックアウトして9時開店のA&Wでバーガーとルートビア。沖縄の朝には焼き鮭や卵焼きや白いごはんは似合わない。


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あたらしくできた「美らSUNビーチ」では、今週末AKB総選挙が行われるという。慰安旅行も兼ねているのだろうか。


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取材・撮影を終え、昼食は道の駅でソーキそば。沖縄そばは豚の三枚肉、ソーキそばは豚のあばら骨周りの肉。それだけでも覚えて帰ってください。骨にこびりついた肉を歯でこそげ落としながら食べる。とても美味しい。沖縄そばを注文したカメラマン氏が「スープが薄い味がしないやっぱりソーキの肉のほうが味が出るんだ」とうるさいので編集がソーキをひとつ丼に分けてあげるとおとなしくなった。


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道の駅では旬のマンゴーを売っていたが、売店でそのマンゴーをまるごと絞ったジュースを売っていたので飲んだ。ひと口飲み、あまりの美味さに驚く。編集に「これは絶対飲んだほうがいいやつ」と薦める。一杯500円だが、その価値は十分にある。カメラマン氏は興味ない様子。


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帰りの飛行機まではまだ時間がある。私は国際通り裏の牧志公設市場周辺の商店街を歩きたかったのでリクエストする。市場本通り、むつみ橋通りなど、いくつものアーケード商店街が交差するカオス。微妙に高低差があるのはかつて一部が川だったからだと以前「ブラタモリ」でやっていた。


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店と店の間の細い隙間を猫たちが楽し気に行き交う。縦横に散歩できて、先々で食べ物にありつけるのだから、猫にとってはパラダイスだろう。所々に食堂や飲み屋があり、とても興味をそそられるが、カメラマン氏はレンタカーを返却に行く時間を気にしている。空港まではモノレールを使えばここから15分ほど。私は勝手を言い、1時間ほど別行動にさせてもらうことにした。町は、ひとりで歩かないと自分のものにならないと常々考えている。何か気になるものがあった時、自由に立ち止まり、なんなら店にふらっと入ることは、同行者がいると難しい。もちろん仕事で来ているのだから、それはわがままというものだが、もう仕事は終了して帰りの飛行機を待つのみというタイミングなので許していただこう。いま振り返っても、この最後の1時間があるのとないのとでは、印象がまるで違ったはずだ。沖縄の残像のようなものが自分の眼にしっかりと刻まれた気がする。



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ごめん。起こしちゃったね。バイバイ那覇猫。またいつか。





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by sakurais3 | 2017-06-13 13:16

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