L.L.Beanの銀座トートとIt's a sony展

人はなぜ服を着るのだろう。ユニクロは問い続ける。って、着ないと捕まるからだよ!

それはさておき。前回の記事でも取り上げたL.L. Bean銀座店1周年記念トートバッグが連日大活躍である。


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L.L.Beanのボート&トートについてはこちらに詳しい。東急プラザ銀座に入る店舗の1周年記念にわざわざトートバッグをつくるというもいささか大袈裟な話ではある。おそらく外国人観光客向けのスーベニールの意味合いもあって企画された商品なのだろう。ブランドの象徴ともいえるボート&トートをブラックにして、都市の名前を大きくプリントするのは、同社の長い歴史からしてもかなりイレギュラーなことらしい。なんとなれば、L.L. Beanのボート&トートは、米メイン州で生産される同社の誇りのようなアイテムのはずだ。そこでつくられるのは白いキャンバス地と決まっているのかどうなのか、このブラックトートは残念ながらベトナム製となっている。

あまりにも有名過ぎて、いままでなかなか買うタイミングがなかったし、頬まで髭を伸ばしチェックのネルシャツにマウンテンパーカーを羽織り週末はキャンプで焚火を見つめながらウイスキーを舐めるC.Wニコルではない自分のような人間が持つべきなのかどうかもよく分からなかった。

L.L.Beanのトートバッグについて、松浦弥太郎氏はこう書いている。「どんなバッグをどんなふうに持っているかで、その人のセンスやライフスタイルがわかると言う。高級品なら良くて安物は悪いということではない。乱暴に扱わず、手入れを怠らず、いつも清潔であることを守りたいと思っている。ある日、僕はL.L. BEANのトートバッグを持って、ニューヨークのプラザホテルに泊まる友人に会いにいった。ボーイが僕のバッグを見て「すてきですね」とお世辞を言った。「こんな場所に相応しくないバッグですみません」と言うと、「そんなことはありません。あなたのバッグは清潔でとてもエレガントですよ」とボーイは答えた。横で見ていた友人が「彼らは本当のお金持ちがL.L. BEANのトートバッグをよく使っているのを知っているんだよ」と教えてくれた。お世辞でもバッグを褒められて僕は嬉しかった。」(BRUTUS・松浦弥太郎の「男の一流品カタログ」より)

これを読むと、はたして自分は白いキャンバストートをエレガントに持てるだろうかと自信がなくなる。

そこへ、このブラックトートである。L.L.Bean好きからすれば邪道なアイテムなのかもしれないが、私は写真で見て「ピンときちゃった(by満島ひかり)」。ネット通販でも買えるには買えるのだが、トート購入者の大半が利用するという刺繍入れをするためには通販だと1週間から10日は待つ必要がある。しかし、店内にミシンを有する吉祥寺店では、混んでいなければ30分ほどで刺繍入れが完了すると知り、銀座トートを買いに吉祥寺店に行く、という謎の行為となった。

ほとんど足を踏み入れたことのない吉祥寺店だったが、スタッフの対応も良く、さすがアウトドアマンはさわやかでいいやね、などと思いながら気持ちのいい買い物ができた。刺繍はバッグの価格にプラス800円、10文字まで入れることができ、サンプルから書体と糸の色も選べる。自分の名前やイニシャルを入れるひとが多いようだが、私はかつてつくっていた個人雑誌の名前を入れることにした。銀座三丁目に事務所を持つデザイナー小野氏とともにつくった雑誌なので、TOKYO GINZAの背面にその誌名があるのは悪くないアイデアのような気がした。写真では分かりづらいが、TOKYO GINZAの文字とステッチは白ではなく銀(L.L. Beanではプラチナと呼ぶ)なので、マッチングを考え刺繍もプラチナにした。いったん店を出てコーヒーを飲んでいるうちに30分が経ち、受け取りに。刺繍の仕上がりも、とても良かった。

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このトートバッグにはジッパーも留め金もないので中の荷物がむき出しになるのが欠点だが、そこはバッグ・イン・バッグの出番である。この手のものは100均でもいいような気がしたが、黒いバッグに合うモノトーンはなかなかないので、近くの無印で黒の仕切りバッグを購入。定価2000円のところセールで1000円に、さらに私は誕生月なのでアプリのクーポン500円分が利用できたので500円で入手。この価格ならなんの問題もなし。バッグにすっぽり収まり、財布やスマホ、ノートや書類などを入れるには十分なマチだ。

銀座トートは、ジャケットやウールバンツなどにも実は良く合う。むしろ、アウトドアなスタイルだと浮いてしまうかもしれない。したがって、ウッディな内装にアウトドアアイテムが並べられたL.L. Beanの店舗では、このバッグはあまり映えないともいえる。たとえばラグジュアリーブランドのショーウインドウでライトアップして飾られていたら随分印象が変わるのではないか。

先日、大阪・名古屋の出張にもこのバッグを持っていったのだが、自立するバッグは想像以上に使い勝手が良かった。荷物が増えて重量がかさんでも心配がなく、お土産に買った4合瓶の日本酒を無造作に突っ込んでも安定感があった。

東急プラザ銀座は、どう考えても女性をターゲットにした場所だと思うが、このトートは女性が持つにはやや大きく、男が持ってこそ収まりがいい。スーツを着るビジネスマンが持っていてもなかなかいいものだと思う。ただし、職場が銀座にあるひとの場合はちょっとベタすぎるとは思う。浅草在住のひとが「浅草」と歌舞伎文字で書かれたTシャツを着るようなものかもしれない。

さて、銀座つながりの話題でもうひとつ。藤原ヒロシがプロデュースする銀座ソニービル地下(マキシマムドパリがあった場所)の「THE PARK・ING(パーキング) GINZA」でソニー・ウォークマンのポーチが売られていることを知った。ソニービル取り壊しを前に開催中の「It's a sony展」に合わせてTシャツやバッグなどがつくられているが、そのなかのアイテムのひとつらしい。

これにICレコーダーを入れたらいいんじゃないかと思いついた。ライターという職業は仕事道具というものが極端に少なく、ノートPCさえあればとりあえず事足りる。しかし、ノートPCは基本的に自宅などで原稿を書く際に使用するものなので、インタビューの場で必須なのはメモ帳と筆記具、そしてICレコーダーくらいである。普段、ICレコーダーとeneloopの充電器を遥か昔に買ったポータブルCDプレイヤーケース(だったと思う)に入れて持ち歩いているのだが、正方形のため中身に遊びがある。ジャストなサイズのケースはないものか、と思っていたところだったのだが、考えてみるとウォークマンを原寸で再現したポーチなので手持ちのTASCAMのICレコーダーは入らない。さてどうしようと思ったところ、ベータのビデオソフトのポーチが目についた。

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これならちょうど入るんでない?と思いスタッフにケースから見本を出してもらう。「これを入れて使おうかなと思うんだけど」「あ、ちょうど入りそうすね」ということで試しに入れさせてもらうと、ICレコーダーとeneloopの充電器が見事に収まった。

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シンデレラサイズって言うんですか? キツキツでもなくユルくもなく。「や、その使い方めちゃかっこいいすね」というスタッフの声に押され、「じゃあこれください」。ポーチに5500円というのもどうなのかと思ったが(UNIQLOなら余裕でアウターが買える)、ICレコーダーと充電器は取材現場における限られた仕事道具なので、このくらいのことはしてもいいではないか。取材先で「え、それベータですか?」みたいに話のネタになるやもしれず。もっとも相手がベータを知っていればの話だが(ちなみにそのショップスタッフに聞いたところ、「僕、前ソニーの社員だったので後追いで知ってるんですけど、おじいちゃんが使ってた記憶がありますね」と言っていた。おじいちゃん…)。

しかし、考えてみれば、ソニービルの中にあるTHE PARK・ING GINZAだから、往年のソニー製品をそのまま再現するアイテムをつくることが可能なわけで、これを他所のブランドがやろうとしたらなかなか高いハードルがあるような気がする。そうそうつくれるものではないはずだ。という意味でも、このタイミングで買っておいて良かったのだと思うようにする。

ベータポーチをゲットしてから、上階の「It's a sony展」を一通り見る。過去から現在までのソニープロダクツを時系列で展示しているのだが、さすがはソニーというべきか、レイアウトの仕方が洗練されている。

撮影は自由、インスタでアップされることを想定したかのようにスクエアな画角に収まりやすい配置になっている気がしたのは気のせいか。下の階から展示を見ていくと、花びら構造のソニービルを体感できるしくみになっている(壁のところどころに施工時の痕跡なども)。

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↑※右端に写る白髪の紳士がPARK・ING GINZAのトートバッグを持っていて渋かった。

平日の午後にも関わらずとても賑わっていたが、あとでこの展示は2月12日までだと知る。つまり明日。賑わっていたのは、駆け込みで見に来たひとが多かったのだろう。そんなこととはつゆ知らず、ついでに見ていこうか、ぐらいの気持ちだったのだが、これは見ておいて良かった。

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↑※ウォーホルによるウォークマン

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↑※懐かCM

私は特にソニーびいきということもないと思ってこれまで生きてきたのだが、こづかいを貯めてウォークマンを買ったし、我が家に初めて来たビデオデッキはベータプラスだったし、はじめて持った携帯電話はソニー製のジョグダイヤルだった。要所要所でソニー製品の恩恵を確実に受けてきたということがわかる。ソニー製品は壊れやすいといわれ続けてきたものの、いかに革新的なプロダクツを生み出してきたのかもこの展示で再確認できた。

ソニービルは4月1日から解体工事に入り、2018年から2020年まではソニーパーク銀座の名で(このネーミング、ソニア・パークみたいだ)公園として開放されるという。そして2020年までにはあたらしいソニービルができあがる予定とのこと。

展示開場では、ソニーパークとあたらしいソニービルに向けてさまざまな識者を招いて行われている公開トークを採録したタブロイド版のフリーペーパーが置かれていたのでもらってきた。銀座の一等地で、単なるソニー製品の見本市ではない新しいカルチャーが双方向的に生まれる場としてこれから何をすべきか、さまざまな意見が交わされていて興味深い内容だった。タブロイド判のフリーペーパーって流行りなのでしょうか。

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東急プラザ銀座の中のハンズで静岡の志太泉酒造のワンカップ「にゃんかっぷ」を買い、雪がちらつくためひとが誰もいない屋上でソニーとエルメスとグッチを見下ろしながら(見くだしてはいない)呑んだ。

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ほろ酔いで地下鉄通路を歩いていたら、ジャズヴァイオリニスト寺井尚子のフリーライブが行われる直前だったので、立ち見で見ていく。ラストはチック・コリアの「spain」だった。



ピアノの北島直樹による「ターミナル」という曲が、ひとの行き交う銀座駅コンコースにマッチしていて良かった(寺井の新しいアルバムに入る予定とか)。

ワンカップの酒一杯で思いのほか贅沢な気分を味わってしまった。





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by sakurais3 | 2017-02-11 18:16

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