地味にスゴイ!? 細かくないのに伝わらないUniqlo Uの魅力

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9月末の発売から2ヵ月が経とうとしているUniqlo U(※以下Uと記す)。既に値下げがはじまり、ようやく売り場も活況といった様子だが、ユニクロ&ルメールと比べてどうも評判がよろしくないようだ。特に服好きのひとたちからの評判が。

ユニクロ&ルメールは、ラコステやエルメスのディレクターを務めたクリストフ・ルメールとユニクロの文字通りコラボだったわけだが、これに対してUの場合、ルメールはあくまでもユニクロのチームの一員として、ユニクロのもつ素材や機能を活用しながら自身のデザイン性をどう加えて再構築するのかを思考するプロジェクトだといってよい。したがって、ルメールのデザイン性は前面で出ず、むしろ奥に引っ込んだ形で既存のユニクロのアイテムをブラッシュアップさせたものが多く、わかりやすいデザイン性が弱まったがゆえに、ユニクロ&ルメールに飛びついたひとたちですら、うーん…と躊躇ってしまったのではないかと想像する。「これだったら普通のユニクロと変わらないよ」と。

ところが、だ。実際に着てみると、やはり普通のユニクロにはない良さがあるのだ(すべての製品が、とは言わない)。デザイン性のみが突出するのではなく、機能・デザイン・価格の最適バランスをいかに図るのかに知恵が絞られている印象。ユニクロ&ルメールは、上下ユニクロ&ルメールでないとバランスがとりづらかったが、Uの場合、通常のユニクロのアイテムとの互換性が高いというか、組み合わせて着ると着こなしに広がりが出るように設計されているようだ。

今のところ私が買ったのは、ウィメンズのダブルフェイスラップコート(黒)、メンズのダブルフェイスウールブレンドジャケット(黒)、コットンツイルイージーパンツ(黒、オリーブ)、ラムクルーネックセーター(黒)。すべて定価ではなく、値下げが始まって以降に購入している。現在ユニクロ誕生感謝祭でさらに安くなっているので(29日まで)、この機会に手にとってみる価値は十二分にある。

ウィメンズのダブルフェイスラップコートは、たまたまマネキンが着ているのを見て、きれいな形だなあ、と目がとまった。ウィンメンズを着ることなど普段はありえないが、ん?待てよ、ボタンじゃなく前をベルトで締めるタイプだから左右の合わせを変えらるのか、ゆったりしたシルエットだし、これなら男も着れるのでは、と試着してみたら、ビンゴだった。メンズのチェスターも着てみたが、明らかにウィメンズのラップコートのほうが雰囲気があり、毛布を身にまとうような感覚も心地よい。ちなみにベルトで前を締めるとガウン感が出てしまうので、着るときはベルトは後ろで軽くしばり、前は開けたままにしている。風になびく様も実に雰囲気がある。そして、左右についた大き目のポケット。手首まで突っ込むと、ポリエステル+綿の裏地が手のひらにあたり暖かく、駅のホームで電車を待つ間など、とても助かる。こうした機能は、試着しただけではわからず、実際に着て外に出てみないとわからないことだった。

ちなみにダブルフェイスとは、裏表着られるリバーシブルという意味ではなく、布の表と表を縫い合わせた状態のこと。つまり、体に当たる服の裏側にも布の表がある、ということになり、肌への当たりがやさしく、体に沿うような着心地になる。

※ウィメンズのダブルフェイスラップコートは、最近、某メンズバイヤーが薦めているアイテムだったと知り、ややがっかり。どうやら有料メルマガでマストバイに挙げていたらしいが、メルマガ読者ではないので知らなかった。時々読む日刊SPA!では挙げていなかったところを見ると、有料会員向けの隠し玉だったのだろうか。

あえて顔をさらす必要もないのだが、顔出しNGも逆に自意識過剰な気もするし、男でも着られることを証明するために。身長170センチでMサイズ着用。袖丈はちょうどよい。ユニクロの草間彌生パーカーを中に着ている。


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メンズのダブルフェイスウールブレンドジャケットは、縫い目が表面にほぼ出ないつくりになっており、胸ポケットや袖のボタン、ベントも排した極めてシンプルな形。2つボタンながら、ややボックス型のシルエットも好ましい。サイドを絞ったイタリアンなジャケットは軽薄そうで好みではない。

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背中の上部と袖の内側にポリエステル+綿の裏地がついているので、ラップコートよりもつくりはしっかりとしている。そして、袖が肘に沿うようにゆるやかにカーブを描き、PC作業などをしている時でも腕まわりが楽。これも実際に着て動いてみなければわからないことだった。光沢感はないので、古着屋で衝動買いした仏製シルクストールを合わせている。長すぎるとYA・KU・ZAライクになるので注意が必要だが、ちょうどいい長さだったので。シャツはユニクロ&ルメールのシャンブレースタンドカラーシャツ。襟付きシャツ+ニットタイなんかも合いそうだ。

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コットンツイルイージーバンツは、かなり厚めの生地で、洗練されたワークパンツといった趣。ウエストにはゴムが入り、リングベルトで締めるタイプ。グラミチっぽいアウトドア感もある。一見、普通のユニクロのチノパンと変わらないように見るが、試着してみるとその違いがわかる。腿から膝にかけてはかなりゆったとしていて、裾にかけて細くなるテーパード。ベルトをキューッと締めると先端がだらっと下に垂れるが、カジュアルに着るならそのまま垂らしてアクセントにしてもいいし、よく見ると先を収める切れ込みがあるのでそこに通してもいい。さらに、股の部分が別パーツになっていたりと、実は芸が細かい。これが今なら990円なのだから驚く。

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ユニクロ&ルメールのイージーパンツを今年の春・夏に愛用していたが、あちらは裾上げ不可だったため、ロールアップを余儀なくされた。春夏なので足元が軽快になり、それはそれでよかったのだが、Uのイージーパンツは生地が厚いのでロールアップするともたつく。「どんなパンツもロールアップ」な傾向にも違和感が出てきたこともあり、裾上げしてもらうことに。店員に聞くと、裾上げは「できるにはできるんですが」と曖昧な返事。基本的にはやらない方向らしいのだが、裾の形状を見たところ、できないはずはないだろうと思い、お願いすることに。値下げ価格なので補正代金280円がかかってしまうのだが、このパンツに関してはジャストレングスで履いてみたかった。

裾上げの仕上がりを見たところ、特に問題はなかった(なぜ裾上げを渋るのか謎。デザイン性が損なわれることを危惧しているのか?)。そして、一度洗って折り皺がとれると随分こなれた感じになり雰囲気が出る。一時期はスキニーデニムばかり履いていたが、今年の春にユニクロ&ルメールのイージーパンツを履き、そのゆったりしつつもだらしなくならないシルエットにハマってしまったので、その延長線上で履けるパンツとしてこちらも既にヘビロテ中である。ミリタリー的な匂いのするオリーブには、三交製靴のラギッドシューズ・茶のプレーントゥがよく合う。

ラムクルーネックセーターは、今回のUのなかではかなりデザイン性が感じられる一品。ざっくりした風合いながら格子状に編み込んだデザインが洗練されているし、とても暖かい。ダークグリーンが最も「らしい」感じだったが、着てみたら私には黒のほうがしっくりきた。

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先日、三越伊勢丹の大西社長にインタビューする機会があったのだが、そこでカテゴリーキラーであるファストファッションの話題も出た。「ユニクロやZARAは決して安いから売れているわけではない。商品の企画から素材の手配、製造・販売まですべて自前で行うSPA(製造小売)だから、原価率を40%くらいに高く設定できる。たとえば原価4500円のものを1万円で売っても十分利益が出るので、クオリティの高いものを安価で売ることが可能になる。百貨店の場合、中間業者が入るので、3000円の品物を1万円で売っても利益率は低い。ウチが自社企画商品に力を入れるのは、原価率の高い、価値のある商品を提供するため」と言っていて、なるほどと思った。

これは飲食店の話だが、原価率を高くすることの重要性についてはこの記事にざっくりまとまっている。



いまだにユニクロを「安かろう悪かろう」と思っているひとは、品物のクオリティを見る目が曇っていると疑ったほうがいい。もちろん、ユニクロを絶対視する必要もないし、世の中には当然ながらはるかに上質なものは歴然と存在する。それを知ったうえで、価値あるアイテムを見極める目こそが重要になろう。それはコスパという発想とはまた別のものである。


大量生産ではない、つくり手の顔が見えるクラフト感のあるアイテムを愛することは、趣味の世界としてはたいへん高級なものだと、皮肉でもなんでもなく思う。しかし、いまの自分の生活環境において、そこにリアリティを感じるかというとどうだろう。それは靴やカバンなど、趣味性やこだわりを発揮しやすい部分で発揮するならするとして、こと服に関しては、機能・デザイン・価格の最適バランスを重視したい。そうした意味でも、「服に個性があるのではなく、着る人に個性がある」とするユニクロの「LifeWear」の概念に共感をおぼえる。

ではまた。




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by sakurais3 | 2016-11-27 16:57

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