アディダスのカントリー


ちょうど1年前に出た雑誌「ブルータス」の特集「松浦弥太郎の『男の一流品カタログ』」(あれからもう1年経っていることにいま驚いている)。誌面では松浦氏が選ぶ「男にとっての一流品と呼ぶべきもの」を80個採り上げていたが、それに20個プラスして100にし、先ごろムックとしてリイシューされた。



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追加された20個以外、内容は雑誌版と同じなので購入はしなかったが、パラパラと立ち読みしていたら、「アディダスのカントリー」が採り上げられていて「お!?」と身を乗り出した。


アディダスといえば、ここ最近のスタンスミスの計画的生産中止→ブランクを置いて再発→数量調整販売で市場の枯渇感を煽る→さまざまなブランドとのコラボも発売→入手しやすくなると人気も下火、という一連の流れを横目に一切食指は伸びず、一方ポップカルチャーへの擦り寄りで付加価値をつけた(ファレルやきゃりーを広告に起用)スーパースターも新鮮味に欠ける気がして手がでなかった。こういう時、微妙な隙間を縫うようにして、忘れられているモデルに着目したくなるアマノジャクが世の中には少数ながらいるもので、自分もそのひとりだった。という訳で、昨年あたりか、あるいはもう少し前からか、「今だったらカントリーが気分ではないか」と考えていたのだ。


アディダスのカントリー。誰もが一度は履いたことがあるのではないか。『ビバリーヒルズ・コップ』でエディー・マーフィーが履いたことでブレイクしたこともあり、スリムデニムとセットの超アメリカンなアイテムと思われがちだが、細身のテーパードパンツなどと合せると意外に上品な雰囲気になる。スタンスミスと同様、フランス製の質感が好きだったが、とにかく幅が狭い。いわゆるエジプト型の足のひとしか履けないのではないかと思えるほど細身なので、ほぼスクエア+偏平足の自分にとって、この靴の紐をきゅーっと絞って履けるひとは憧れだった。もちろんサイズアップすれば履けるのだが、どうしても不恰好になる。



↓フランス製のデッドストック



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↓これは90年代に再発されたもの。



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しかし、革靴を日常的に履くようになった今ならば、この靴をスマートに履きこなすことも不可能ではないのでは、などと夢想していたのだったが、ショップで現物を見てがっかりした。現在売られているカントリーは、僕が昔履いていたものとは比較にならないほど安っぽいのだ。



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カントリーとは名ばかりで別ものだと考えるべきかもしれない。こうなるとデッドストックを狙うしかないのか。


松浦氏はカントリーについての文章の中で、「男の服装は歳とともにスポーツ寄りの楽な方向にいく。それはMENではなくBOYだ。エレガンスやトラディショナルということばを信奉する気もないが、男の服装はどこか引き締まったものでありたい」(大意)として、アディダスのカントリーをすっきりと履きこなせる大人の男に憧れるが、いまだに難しい、と述懐していて、イグザクトリー!という感じで思わず膝を打った(立ち読みしながら)。


秋になったら細身のベージュのコーデュロイパンツにカントリーなんてなかなかいいと思うのだが、果たしてこの靴を粋に履ける日はくるのだろうか。




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by sakurais3 | 2015-08-20 00:20

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