Awake


冷房の効いた部屋でこんな音楽ばかり聴いています。仕事もしています。



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今期のドラマは言うまでもなくダントツで『ど根性ガエル』が面白い。


あまりの量産ぶりに筆の荒れも心配される岡田惠和だが、たとえばティム・バートンが『バットマン』という誰もが知るアイコンを借りたことによって新たな境地を見せることに成功したように、ひろしとピョン吉というメジャーなアイコンを借りることによって、新鮮な手さばきで自身の世界観を再構築できたのではないか。薬師丸ひろ子、白石加代子、前田敦子という木皿泉脚本の大傑作『Q10』のキャストを得て、岡田惠和が木皿泉的世界観をうまい具合に自身の作風のなかに落とし込んだという印象。ひろしとゴリライモの対比は、三浦大輔の大傑作『ボーイズ・オン・ザ・ラン』における田西と青山をどことなく思わせる。空回りする主人公と、正論を吐く敵役。


そして、見る者は、着る着ないに関わらずピョン吉Tシャツが無性に欲しくなるという意味でマーチャンダイジング的にも成功している。


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あとは、内館牧子脚本の『エイジハラスメント』、『リーガルハイ』の石川淳一メイン演出の『リスクの神様』も今のところ面白く見ている(リスク3話は未見)。武井咲の「てめえ五寸釘ぶちこむぞ」が「遠山の金さん」よろしく毎週続くのはどうかとは思うものの(3話では横取りされたが)、これで溜飲を下げるひとたちもいるのだろうなという気もする。あれは22歳の新入社員ではなく内館牧子の心の叫びなのだろう。そういう意味ではすごくいびつなドラマ。


ちなみに、Webマガジン「フイナム」にて連載していた「ドラマのものさし」は、前シーズンであの形としては一旦終了。読んでくれていた方には、この場を借りて感謝します。インタビューなのか対談なのか、また違った切り口でのドラマについての企画を現在考え中でやんす。


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渋谷直角の待望の新刊『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』を読む。




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あの『ボサノヴァカバー』を上回るグルーヴと読後感。業界裏話的なディティールの積み重ねの周到さと露悪趣味に目が眩みがちだが、描かれているのは「ひとの性(さが)」「ひとの業」といった本質的なものだ。所謂「童貞拗らせ」系マンガの系譜はこの一作によって完全に亡きものになったと言って良い。マンガという表現の可能性を一歩も二歩も推し進めた、などと言うと嘘くさい賛辞に聞こえるかもしれないが、とにかくこんなマンガを他に誰が描けようか。『リラックスボーイ2014』はこの作品の布石だったのでは。我が国におけるファムファタル物の傑作。


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月に二度ほど、雑誌やコミックスが充実している近場のネットカフェに行って気になるものをザッとチェックするのだが、若者向けメンズファッション誌をパラパラ見ていたら、「ユニクロの服だけどユニクロだとバレずに済むアイテム」みたいな企画があって驚いた。


友人やガールフレンドなどにユニクロの服だとバレることを「ユニバレ」と称し、「映画シリーズやキャラクターもののTシャツはユニバレする可能性大なのでNG」みたいなことが書かれていて笑ってしまった。ユニクロの映画シリーズTといえば、かつてはジャームッシュやリンチなどのマニアックなものもありつつ、今季は「BTTF」や「ゴーストバスターズ」「ブルースブラザーズ」などの80’s映画が揃い、買う買わないは別にしてそそられるラインナップだ。


記事には、「ひと目でユニクロとバレない無地のシャツなどがオススメ」などと書かれているのだが、無地のシャツこそ素材やつくりがモロにバレてしまうからよほど危険。若者であればユニバレなど気にせずに堂々と映画やアートシリーズのTシャツを着ればいいのに、と思う。ユニバレは恥ずかしい、ビームスやアローズで買っときゃ間違いない、なんてこともないだろう。ようは何を選びどう組み合わせるかだ。


そんな自分は、無印・ユニクロ・GU等のファストファッションに一切偏見のない人間なので、気に入ったものがあればガンガン着る。数年前に買ったジャームッシュ『ダウン・バイ・ロー』、リンチ『マルホランド・ドライヴ』Tシャツは今も愛用している。この夏は以前触れたセットアップで買ったGUのギンガムチェックのシャツジャケット+ショートぱんつを着倒しているし、ここ数日はあまりの暑さでユニクロのドライストレッチアクティヴスショーツの紺を履いている。膝上丈のショートパンツはやや抵抗があったものの、履いてみるとスッキリしていて悪くない。センタープレスが効いているのでカジュアル過ぎず、しかも膝が出ているので動き(歩き)やすく、何より軽やかで涼しい。洗ってすぐに乾くのも機能的。実は革靴にも合う。




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メンズの場合、膝丈ショーツを履くとなるとすね毛をどうするか問題があるが、近ごろはトリマーやアタッチメントが付いたボディシェーバーなどもあるので活用されたし。つるっつるにするのに抵抗があるならトリマーがいい。「男子たるもの、すね毛を剃るなんてけしからんでごわす」みたいな漢気も分からないではないが、もじゃもじゃのすね毛を見せられるほうが困る。メンズエステで永久脱毛!みたいな本気なのもドン引きだが、ある程度メンテナンスはすべきではないだろうか。そして、スッキリとした足を出して歩くと気分も変わる。暑さによる身体へのダメージも軽減されるだろう。男たちよ、足出していこう!


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ちょいちょい顔を出す立ち飲み屋で、某スポーツ用品店のエラいひとと隣り合わせになり、靴の話で盛り上がったというエピソードを以前書いたが、夕べ同じ店でそのひとと偶然顔を合わせた。


半年くらい前のことだし、なんとなくお互い顔を覚えているようないないようなという感じで声をかけるのを躊躇していたのだが(会社の部下らしきひとも同席していたので)、足元を見るとアディダスのZXのグレースエードを履いている。失礼ながらその歳でこの靴を履きこなすひともそうそういないだろう。おそらくあのひとに違いないなと思い、靴をチラチラと眺めていてると、「あれ、ひょっとしてあの時の」と向こうから声をかけられてしまった。「顔を良く覚えていなかったので声をかけていいものか迷ったんだけど、足元を見たらビルケンシュトックのEVAだったから、これは間違いないな、と。さすが、旬のものを履いてますね」と。いやいやお恥ずかしい。



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それから小一時間ほど、相手の部下のひとも交えて靴談義になった。「勤務先が上野だからなかなかこっちまで来れなくてね。飲み屋でこういう話が出来るのはほんと楽しいよ。あなた、ただ者じゃないね」などと言われ、酒も入っているのですっかり気持ち良くなってしまったのだが、この日の自分の服装は、足元はまあいいとして、数年前に買った無印良品のインド綿のマドラスチェックの半袖シャツに、パンツは前述のユニクロのドライショーツ、Tシャツは酒屋でもらったジムビームのラベル柄という大変チープな出で立ち。ちなみにそのひとは、フランスのサーフブランド、アルヴォマレーのショールカラーのポロシャツを着ていて、日焼けした肌にピンクが良く似合っていた。聞かれてもいないのに、「今日はひとに会う予定もなかったのでこんな適当な格好で」などと言い訳をしてしまったのだが、「いや、サイズ感も含めてちゃんと選んでるじゃないですか」とお世辞を言われる始末。まあ、恥ずかしい格好だとも思っていないのだが、自慢できるようなものもない。


おもむろに「そのトートバッグは?」と聞かれたので、「これはカルディコーヒーで売っているもので、黒もあるんですが、断然白がいい。くすんできたら買い直して、もう8年くらい使ってます。日常的に利用しないのにディーン&デルーカのバッグ持ってるOLへのアンチテーゼですよ。大きい缶バッチは古着屋で買ったスターウォーズのレイア姫。今年はスターウォーズイヤーなので」などとペラペラ喋ってしまい、今思い起こすと大変恥ずかしい。カルディのバッグひとつで何もそこまで…。おそらく、カルディのバッグについてそこまで語る酔狂な者など、そのひとの周囲にいないので面白がられているだけかもしれんな。


とまあ、思わぬ出会いがあるのも飲み屋のいいところですね。と強引に話を締めよう。




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by sakurais3 | 2015-07-27 16:10

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