トーキョー・ストラット


ここ何週分かのツイートを見直しながら、あらためて日記として書き記すという行為に何か意味があるだろうかと思いつつ。


〇月×日


10月から放送中の某ドラマの某主演俳優のインタビューが決まり、そのひとに関する過去の記事やDVDなどを可能な限りチェック。代官山で1時間半にわたる濃密なインタビューが終わり、三軒茶屋に移動し、飲み屋がひしめく路地を歩きながら撮影。優秀なカメラマンは撮るのが早いということを数々の現場で実感してきたが、このひとも早かった。路地の入口から出口を一巡しただけで撮影終了。近日中にWebにアップされるはずなので追って告知を。我ながら入魂のインタビュー記事になっていると思う。


撮影が三茶で終わり、編集部へ戻る編集長とヘアメイク氏と別れ、ひとり飲みへ繰り出す。三茶で飲むなんて何年ぶりだろうか。ある時期、この地との蜜月のような日々があったが、最近はめっきり足が遠のいていた。久しぶりにあちこち歩いてみたのだが、なんだか悪くない。高円寺や下北よりもずっと肌に合う感じがするが、それは数年ぶりにふらりとやってきただけの通りすがりの勝手な幻想なのだろう。しばらく通えば、きっと嫌な面だって見えてくるのかもしれない。


そんなことを考えながら、適当に見つけた焼き鳥屋のドアの開けた。なぜそこに入ろうと思ったのかといえば、なんとなく勘が働いたから、としか言いようがないが、開店直後にも関わらず、待ってましたとばかりに常連と思しきおっちゃおばちゃん数人が吸い込まれるのを目にしたから、というのもある。早い時間なので、まだ空いているが、カウンターとテーブル席にはすでに客が数人。これからガンガン客が入ってくるが、今のところまだ嵐の前の静けさ、といったムードがヒシヒシと感じられる。


はたして、カウンターの真ん中(両端は常連が陣取っている)で瓶ビールから日本酒に切り替える頃には、カウンターはひとり客で満席になり、テーブル席も複数の客たちであっという間に埋まっていった。これは、早い時間にこなければ駄目な店なのだろう。焼き鳥の注文を済ませ、焼き上がるまでのつなぎとしてピクルスを注文。隣に座っている常連らしきおっちゃんのオーダーを真似したのだが、これが正解だった。大振りの焼き鳥はどれもたいへんおいしく、ピクルスを箸休めにして食べるといい具合に口にのなかがさっぱりする。焼き鳥は、ピーマンに詰めた鶏つくねが絶品だった。店を出て、いちおう店名をネット検索すると、けっこうこのエリアでは有名な店のようだった。とり石。


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マイ・メモリーズ・オブ・三茶。閉館した中央劇場の前にて。この味わいある建物を、佐賀のシエマのように、映画上映、カフェ、イベントスペースとして再生できないものか。


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〇月×日


よく晴れた土曜日。自作のプレイリストを通して聴いて曲順や流れを確認しようと思い、イヤホンをして少し遠出の散歩。駅を越え、線路を渡り、川辺を歩き、辿り着いたラーメン屋。塩ラーメンがうまいという評判を聞いてはじめて訪れたのだが、中途半端な時間だったせいか先客なし。店員のおっちゃんふたりがテレビを見ている。少し不安になりつつも、塩ワンタンメンをオーダー。おっちゃん2人が切り盛りするというありそうでないタイプの店だが、ラーメンはとてもおいしかった。透明感のある薄味の塩ラーメンがおいしいと思える年頃なのである。それにワンタンがあれば最高だ。つけ麺とかにはまったく食指が動かない。


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             多摩利屋の塩ワンタンメン


〇月×日


目ざといひとはとっくに検索済みだろうが、ルフォンというマンションのCMに出ている駒井漣というコが気になる。たとえが間違っているような気もするが、富田靖子が『アイコ十六歳』で出てきたときのような素朴なフレッシュネスを感じる。


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〇月×日


市ヶ谷の某大学にて取材・撮影。ひさしぶりに朝7時台の電車に乗ったのだが、駅をかなりすっとばす快速は乗客(主におっさんたち)の振る舞いが酷くて萎える。一度自分の立ち位置を決めたらテコでも動こうとしない奴。自立することを早々にあきらめ、ひとの背中を背もたれにしながらガラケーで「ちびまる子ちゃん」の動画を見る奴。ティッシュすら持っていないのか4秒置きに鼻をすすりあげる痴呆。パソコンが入っているのかハガネのように固いリュックを背負ったまま突撃してくる阿呆。これ皆おっさんである。これでも7年間、会社勤めをしていたので、さんざん満員電車は経験しているが、こんなに酷かったのだろうか。どうも酷さが進化(すなわち退化)しているような気がするのは気のせいか。


ときどき大学での仕事があるのだが、楽しみなのは学食だ。最近の学食はなかなかレベルの高いメニューを揃えていたりするが、ほんとうは安くてボリュームがある典型的な定食が食べたい。職員や教授を対象にしているのか、妙にこじゃれたメニュー(鮭のムニエルとカニ爪のクリームコロッケみたいな奴)が多く、値段も高め。その割にたいしておいしくはない。学生はそうした高価なメニューをしり目にカップ麺をすすっていたりするのだから、誰のためのメニューなのか良く分からない。こちらとしては、500円くらいで普通に肉野菜炒め定食とかが食べたいのだが。


それはさておき、高層の校舎から見る眺めがなかなか良かった。昔、「美しい東京」という東京都庁の広報誌を編集していたことがあり、思わず[美しい東京]というフレーズが浮かんだりもした。クライアントが東京都で、間に代理店の営業がいるのだが、ほぼひとりで企画・編集・執筆(場合によっては撮影も)していたので、それなりに思い入れのある媒体だった。コンセプトは、「変わっていく東京と変わらない東京」。同じ時期に出版された小林信彦の『ムーン・リヴァーの向こう側』という小説は、まさに「美しい東京」という東京都庁のPR誌で執筆するコラムニストの男(シャイでインポという設定)が主人公だった。ひとに「これってあなたのことじゃないの」と言われたりもしたが、もちろん単なる偶然だろう。ぼくはシャイでもインポでもない。という話は以前このブログに書いたような気もするが。


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〇月×日


NHKのドラマ10枠ではじまった『さよなら私』が予想通り面白い。神社の石段転げ落ちての入れ替わり、尾美としのりが出てて、タイトルが『転校生 さよならあなた』に似ているという、誰が見ても大林宣彦オマージュなのだが、中身はそこから一歩も二歩も踏み出そうとしているように見える。


まだ2話目なので、入れ替わっちゃったどうしようという段階だが、子どもが生まれてからこっち、セックスレスになっている妻が親友と入れ替わり、その親友と不倫している自分の夫に抱かれる(夫は親友だと思い込んでいる)とは何たるアイロニー。普通の入れ替わり物は男女だったりおばちゃんと若い女だったりするから分かりやすいのだが、この場合、見ながら「えーと、これは顔は永作博美だけど中身は石田ゆり子なんだよな」といちいち確認しないといけないのがちょっとたいへんではある。


クドカン『ごめんね青春!』は、気楽に楽しく見ている。風間杜夫が五反田のデリヘルでCAコスプレの女を呼ぶという『スチュワーデス物語』オマージュなんかもそれはそれで楽しいのだが(ベッドには教官の制服が置かれている)、まあ「だから何?」と言われれば答えに困る。SNSも出てくるが、どちらかというと地元のコミュニティFMが「みんなの伝言板」としてがっつり機能しているという辺りが『あまちゃん』以降か。そのラジオ番組の名前が「ごめんね青春」なのだが、平助(錦戸亮)は結局この番組で放火の告白&懺悔をすることになるのだろうか。


Nのために』は録画したまま、まだ1話すら見ていないというていたらく。榮倉奈々というひとは今のところ代表作がない女優だといわれるが、映画『東京公園』のさっぱりとした色気やドラマ『蜜の味』前半の「重たい処女」感が抜群によかった。役柄や演出次第のひとだと思う。



〇月×日


赤瀬川原平氏が亡くなった。『老人力』のアクロバティックな思考の転換、『新解さんの謎』のじわじわくるおかしみ、『日本美術応援団』のわかりやすく核心を突く発見。いずれもものすごく影響を受けているし、後追いで知ったネオ・ダダやハイレッド・センターの活動は、心底かっこいいと思った。いわばパンクのルーツ。勅使河原宏の『利休』の脚本を手掛けていたりもする。


さらに、「無用の長物」に光を当てて別の意味を見出す独自の視点を提示した『超芸術トマソン』がカルチャーに与えた影響はかなり大きかったのではないだろうか。これがなければ、みうらじゅんの表現活動もなかったような気がする。そういえば、とある猫の専門誌で赤瀬川氏が「猫の人生相談」を連載していたことがあるのだが、その担当をしていたひとに頼まれて、初回のダミーの質問を考えたことがある、ということを今思い出した(初回は読者の相談がないため)。赤瀬川氏が面白い解答をしてくれそうな相談を考えるのが楽しかったし、それに対して絶妙に答えてくれたことがうれしかった。





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by sakurais3 | 2014-10-28 02:40

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