『聖女』・労政会館のカツカレー・新橋の『タクシードライバー』


最近のことなどをつらつらと。


Webマガジン「フイナム」の連載「ドラマのものさし」、今回は『おやじの背中』について書いています。視聴率は振るわないようですが、見応えは十分。来週の脚本家は井上由美子、最終回は三谷幸喜です。今回から、このコラムは「SERIES(連載)」というカテゴリーに入っています。





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NHK・ドラマ10『聖女』。初回の冒頭、美術館で広末涼子演じる美術コーディネーター・基子がマスコミの取材を受けていると、いきなり警察がやってきて「詐欺と殺人容疑で逮捕する」かなんか言ってその場で手錠をかけて連行していく…というシーンを目にして「はあ?」と思い、開始早々につまずいてしまった。いくらなんでも、あんな場所であんなタイミングで逮捕しないでしょ。


物語が過去に遡るとダイジェストを見ているような唐突な展開でさらに「?」となり、15分程度で見るのを断念してしまった。広末演じる基子は、かつて永山絢斗演じる高校生・晴樹の家庭教師だったのだが、いきなり晴樹に向かって「東大に行って誰にも見下されない立派な人になって私を恋人にして」とか言い出すし、晴樹の童貞(?)もしっかりいただいて突然いなくなるし、なんだこの展開は。


なにより演出が2時間サスペンスばりに安い感じで劇伴の入れ方もベタだなあと思ったら、演出は2時間サスペンスを手掛ける制作会社ジ・アイコンのひとだった。しかしまあ、ちゃんと見ないであーだこーだ言うのも失礼なので、とりあえず録画した12話をじっくり見ることに。


結論としては、「脚本はなかなか。しかし演出はやはり安い」。このくらい分かりやすくベタにやらないとこのドラマのターゲットであるところのおばちゃん層は取り込めないのかもしれんが、たとえば上戸彩の『昼顔』の冴えた演出などを見るにつけ、「おばちゃん相手だからって舐めちゃだめ」と思ったりもする。


1、2話の演出は同じ日比野朗というひとだが、1話よりは2話のほうが抑えが効いていてマシだった。詐欺と殺人、殺人未遂の容疑で逮捕された基子がモロに「毒婦」木嶋佳苗をモデルにしていることが1話の途中で分かる辺りからやや話が面白くなってくる。そして、基子の弁護を務めることになるのが、かつての教え子の晴樹なのだ。基子の言うとおり「東大に行って誰にも見下されない立派な人」になった訳だが、基子が東大にこだわったのには、どうやら東大生だったが今は引きこもりの晴樹の兄・克樹が関係しているらしい…などということも見えてくる。まあ、この引きこもりの兄の描写が、メガネ、マジックで描いたような無精ひげ、暗い部屋でパソコンに張り付いてるという、いかにもなのはどうかと思うが。


木嶋佳苗事件をモチーフにしたと思われるドラマとしては仲間由紀恵の『サキ』などもあったが、結果的にスベッていた。はたして『聖女』はどうか。本人は清らかに生きようとすればするほど悪女になって周囲を不幸にしていく様に説得力を持たせられるのかどうかがポイントになるだろうが、とりあえず、この役に広末涼子はフィットしている。





比較的近所に都の労政会館とやらがある。まるで縁も用もない施設なのだが、ここの1階のレストランがなかなか美味しいらしいと知り、日曜の午後、遅めの昼食を食べに行った。


レストランは施設に用のないひとも自由に使え、平日の昼などは近隣のサラリーマンでそれなりに賑わうらしいのだが、日曜の午後はがらんとしていて、職員と思しき2名が隅のテーブルで打ち合わせをしている以外、客はいない。B.G.Mもなく、空調の音だけが静かな館内に響いている。自分は一体ここで何をしているのかという不思議な気分になりながら、570円という中途半端な値段のカツカレーを食べた。


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いかにも社食か学食か、という雰囲気から味にはまるで期待が持てなかったのだが、これがなかなかどうして、どこに出しても恥ずかしくない立派なカツカレーだった。 揚げたてのカツの衣はサクサクで肉厚、牛肉が入ったカレーは欧風の味わい、添えられた野菜もみずみずしく、価格・ボリューム・味ともに大満足だった。


こんな場所があるなんて、まるで知らなかった。しかも、平日のランチは500円らしい。よし、時々ここにランチを食べに来よう。と思い、何気なくネット検索をしたら、どうやらこの施設は数年後に取り壊される予定になっているらしいのだ。またしても、自分が注目するとそれが無くなる、というか、無くなりそうなものにばかり目がいく、というか。


しかし、まだ時間はある。無くなる前に足しげく通おうと思う。



無くなる、といえば、新橋の名画座、文化劇場とポルノ映画専門のロマン劇場が831日をもって閉館した。思えば昨年11月、「なぜか行かなければならないような気がして」足を運んだのも、何かの兆候だったのかと今になって思う訳だが、終了間際には橋本愛が文化とロマン両方に駆けつけたことがツイッター上で話題になっていた。「名画座の奇跡」として後年都市伝説的に語られることになるかもしれない(大袈裟)。しかしまあ、プライベートはそっとしておいたあげたいものだ。


文化劇場の最終上映『タクシードライバー』にトラビスTシャツを着て馳せ参じたかったのが、時間がとれず。それにしても、この映画を最後にかける新橋文化もさすがだ。とても新橋っぽい。



Serial KillerのトラビスT

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by sakurais3 | 2014-09-01 17:01

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