殊能将之というひと

このブログでは、あまり自分の携わった仕事については触れないのだが(特に理由はないが終了した仕事に対して頓着しないタチなので)、今日はきまぐれに紹介してみる。単に自宅に籠って原稿を書く日々なのでブログのネタがないという話もある。

環境省の広報誌「エコジン」の最新号では、巻頭のエコジン・インタビューにて、声優のキートン山田さんにインタビューしている。キートンさんといえば、「ちびまる子ちゃん」のナレーションを23年間(!)続けていることでも知られる。東京と伊東を行き来する暮らしから見えてくる、本当に大切なものとは…というような話。

この「エコジン」という媒体にはかれこれ5、6年関わっているだろうか。過去にも放送作家の小山薫堂氏やデザイナーの佐藤可士和氏、さかなクンなどにもインタビューしているし、いろんな大学のセンセイやエコに携わる企業や人の取材も行っている。字数の制限があるため(Webなのだから本来ヘンな話なのだが)あまり突っ込んだことまでは書けないのだが、限られた字数でどこまで「へえー」と思わせる話が書けるのか、というのが書き手にとっての課題といえる。




先日、あるひとのTweetを見ていて、ミステリー作家の殊能将之が2月に亡くなったことを知る。享年49。

99年に「ハサミ男」で鮮烈なデビューを果たし(同作は豊川悦司、麻生久美子で映画化もされた)、正体を明かさない覆面作家というスタイルや寡作ぶりから、ある種伝説化した作家なのだが、じつはこのひととは4年間ほど同じ編集プロダクションで仕事をしていたことがある。もちろん、彼が作家になる前の話だ。

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その会社には当時8人ほどのスタッフがおり、彼とは部屋が違ったので仕事上でタッグを組むということはほとんどなかったが、夜、仕事を終えた彼がこちらの部屋へおもむろに入ってきて最近触れた映画や音楽や本に関する話をダダダダダとマシンガンのように浴びせたかと思うと、気が済んだかのように「じゃ、また」と言っておもむろに帰っていく、というのが日々の定例だった。

年齢的にも出版業界のキャリアとしてもあちらのほうが先輩にあたるが、なんとなく社内ではいちばん気楽にしゃべることができる相手だと思われていたフシがあり、そうした関係がその会社にいる間つづいた。そして、時々思い出したかのように、「この前のあの原稿、なかなか良かったよ」とボソッと言ったりもした。何度か酒を飲みに行ったこともあったように思うが、その辺りのことはあまり記憶にない、ということは、あったとしてもごく稀だったのだろう。

やがてその会社が内部分裂というような事態になったとき、彼は自分のボスに付いてその会社を去った。その時、一緒に来ないかと誘われたりもしたのだが、いろいろ思うところあって結局自分はその会社を出て別の会社に行くことになった。

その後の彼の様子はひとを介して時々耳にしていたが、直接会うことはなくなった。それなりにハードな人生を送っているようにも思えたが、どのような状態だったのかは詳しく知る由もなかった。

次に彼の話を耳にした時には、彼は作家・殊能将之になっていた。

ああ、あのひとだったらそれも不思議ではないなと、特別驚きはしなかったことを覚えている。映画、音楽、本に関する膨大な知識、ひとを喰った視点、アイロニカルなジョーク…作家になるための要素をいくつも備えているようなひとだった。

彼と会わなくなってから以降、彼がどのような人生をおくったのかはわからない。ネットなどの反響を見るかぎり、作家・殊能将之の死を悼む声は後を絶たないようなので、寡作だったとはいえ、生きているうちに作品を残せてよかったのだと思う。

デビュー作「ハサミ男」のタイトルは、言うまでもなくイギリスのロックバンドXTCの「SCISSOR MAN」からの引用である。彼とはよくXTCやアンディ・パートリッジの話をした。そして、彼が社を去る時、不用品の整理をしていて、「よかったらあげるよ」と言って差し出したCDの中に、XTCのアルバム「Oranges&Lemons」もあった。

そのCDは今でも手もとに残っている。「ハサミ男」の作者からもらったXTCのCD。後々、そうした付加価値がつくとは思いもしなかったが。

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あらためて、ご冥福をお祈りいたします。




マルちゃん正麺のヒット以降、日清ラ王が対抗馬の袋麺を出すなど、袋入りのインスタントラーメン市場が熱いが、サッポロ一番・麺の力も後発ながらがんばっている。

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表示には茹で時間3分とあるが、4分くらい茹でたほうが麺がもっちりしてうまい。最近出た担々麺もよさそう。
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by sakurais3 | 2013-04-05 16:17

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