サキに終電バイバイ

録りためておいたTBS深夜のドラマNEO枠「終電バイバイ」1~3話を見る。

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「ドラマはいつも終電の後にありました」というコピーはなかなかそそる。

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濱田岳が毎回異なる主人公を演じるが、共通するのは「終電を逃してしまった男が始発までにどのように過ごすのか」という設定だ。

「よく知らない街で終電を逃してしまった男が途方にくれて町をさまよっているうちに見知らぬひとたちと出会い、ちょっとしたドラマがはじまる」という設定自体はとても興味深いのだが(実は以前そういう話を構想していたので)、実際のドラマを見た感想としては、正直「うーん…」という印象。

1話の「立川駅」は、終電を逃した男が、立川駅北口のファーレ立川付近で20年間働いていないというおっさん(ファーレ立川の野外アートと格闘中)と偶然出会うという設定はいいし、おっさんと「ケードロ」(泥棒と警察)をやっている若者たちにコミットする辺りも悪くはないが、当の無職引きこもりのおっさんに「参加してないからって生きてないわけじゃないんだ!」とかセリフで言わせるのはサムい。そーゆーメッセージをセリフで言わせず見ているひとの中に違和感なく植え付けるのがストーリーってもんじゃ…。メッセージだけ受け取りたいのなら名言集とかでいいわけで。

2話の「秋葉原駅」になると、さらによくわからない。秋葉原で終電を逃した男が、かつて彼女と通っていたテーブルトークRPGの店にふらふらと立ち寄ってしまい、そこで元カノ(と今付き合っている彼)に会ってしまう、という話なのだが、このドラマは「自分のテリトリーではない町で終電を逃し、始発までどうするのか」がテーマなのだろうし、よく知らない町での一期一会の出会いみたいなものが話の軸になるべきところを、2話目にして早くも「かつて通っていた思い出の店」に行っちゃうってどうなんだろう。

まあ、入山法子演じる「結局自分がいちばんで彼氏の話なんてまるで聞いてない女(本人に悪気なし)」は結構リアリティがあったので話としては悪くないが、もうすでに「終電バイバイ」じゃなくなってるよね、これ。

3話の「南千住駅」がこれまでの中では最も「終電バイバイ」のコンセプトを全うしているといえるが、「南千住」という土地の固有性と物語がほとんどリンクしていない。南千住で終電を逃した男が駅前でフランスから来たバックパッカーに宿までの道を聞かれ、案内する。海外のバックパッカー専用宿で一泊2700円とかだから「じゃあ僕も泊まっていきます!」ということになるのだが、その後、終電逃し男はフランス女の頼みで深夜の町の散策に付き合い、いつの間にか朝に…って、じゃあ宿に泊まんなくてもよかったじゃん。

フランス女が小塚原刑場跡地や首切り地蔵に行きたがるくだりなどは笑えたものの、せっかく山谷があってホームレスなどもいる町にも関わらず、最後まで土地のひとたちと接触するエピソードはなし。「なんで南千住でフランス人と絡む話にしたの?」という疑問が残るばかりで、フランス女の元カレが人権活動家で、訪れたパレスチナで死んだというエピソードをいきなりぶち込まれてもしっくりこない。刑場で処刑された者たちへの鎮魂とパレスチナで死んだ彼の話をダブらせている?  うーん、ちょっときびしいでしょう、それは。フランス女に「彼が見た景色を見てみたかったの」と言わせているが、であれば南千住という設定じゃなくても良くなってしまう。

ということで、3話まで見た限り、設定自体は可能性を秘めているとは思うものの、ドラマとしてはスベッていると思う(上から目線で申し訳なし)。なにより終電から始発までの4時間という限定された時間の経過を物語として明示する必要があると思うし、いっそラストは毎回主人公が始発に乗り込むシーンで終わるとかベタなほうがカタルシスがあるのではないか。この主人公がちっとも始発を待っているように見えないんだな。

脚本は岩井秀人と平田研也。岩井は向田邦子賞を受賞しているひとなのだが…。ひょっとすると脚本と演出のテイストがかみ合っていないのかもしれない。

次回は蒲田駅ということなのでいちおう見ようとは思うが(以前、個人雑誌『リトル・マグ』にて、用もないのに蒲田で一泊するという訳のわからない企画をやったことがあるので)。



「サキ」4話も見る。

あれ、いつの間にか弁護士先生死んじゃったよ。

このままサキの動機を隠したまま最後まで貫くんだろうか。だとしたら最終回だけ見ればいいじゃん、という話になってしまうわけで。もう少し小出しに謎を明かしてくれないと付き合いきれないなあ。新たな標的になるゲームおたくの名前をサキがモノローグで口にしていたので、もちろん通り魔的に当てずっぽうに男たちを標的にしているわけではなさそうだが、それにしてもどんだけ殺したい男がいるんだよ、この女。

もしも木嶋佳苗が整形+ダイエットしていたらコロッとひっかかる男の数はさらに増えていただろう…という発想から生まれたドラマなのか。しかし、サキの目的は今のところ金品じゃないってところが不気味なのだが。

そろそろリタイヤかもしれない。サキにバイバイ、か。
by sakurais3 | 2013-01-30 15:44

ライター・さくらい伸のバッド・チューニングな日々  Twitter saku03_(さくらい伸)


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