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書店員ミチルと看護師サキの身の上話

何やらバタバタと慌ただしく、観たい映画を観る時間がない。『LOOPER/ルーパー』と『TED』は観なければ。

「くまちゃんかわいいー」と勘違いした女子らが押しかけるも、内容にどん引きしているという『TED』。
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そんな中でも、ドラマだけは、見る。今期はかなり豊作で、これまたすべて追いかけるには時間が足りない。読まなければならない本もたくさんあるし、とーにかーくー時間がー足りなーい、とユニコーンを歌っている場合じゃない。じゃあ呑みに行くのをやめればいいじゃん、ということなのだが、ほぼ唯一と言っていい息抜きなので(映画やドラマ、本は自分にとって息抜きではく仕事に直結しているので)、それはちょっとでーきないーそーだんねー、と中森明菜を歌っている場合じゃない。

とりあえず、見るべきドラマをあらためて整理すると…

月~土『純と愛』
火曜『サキ』『書店員ミチルの身の上話』
木曜『最高の離婚』
金曜『夜行観覧車』『まほろ駅前番外地』
土曜『泣くな、はらちゃん』
日曜『八重の桜』『dinner』

という感じになる。

今週から新たに加わったのがNHK・よる☆ドラ枠の『書店員ミチルの身の上話』

原作は、傑作『ジャンプ』で知られる佐藤正午の『身の上話』。『書店員ミチルの身の上話』というタイトルだけ聞くと「書店業界の裏話」的な話かと思うが、さにあらず。書店員の同僚のおばちゃんらに頼まれて宝くじを買いに行かされた女(戸田恵梨香)が2億円当選しちゃったことではじまる転落人生。NHK初主演という戸田恵梨香が実に「不運顔」でハマッている。

公式サイトを見ていただければ分かる通り、キャストがすばらしい。柄本祐と安藤サクラは夫婦共演ですな。

脚本・演出はテレビマンユニオンの合津直枝。30分という尺もちょうどいい。あまり話題にのぼらないような気もするが、これは拾いものだった。

月9『ビブリア古書堂の事件手帖』は、1話の最後だけ見て、2話をしっかり見たのだが、古本を素材にしたミステリーは本好きとしては普通に楽しめる。が、謎解きはコネタレベルというか、人間関係も含めてかなり小さな話には違いない。正直、月9で1時間かけて描くようなものではない気もする。それこそ、夜11時台で30分、というほうが収まりがいいだろうし、京都アニメーションがアニメ化した『氷菓』みたいな作りのほうがしっくりきたのではないか。なにしろ、原作のカバー画の栞子ちゃんとゴーリキちゃんのビジュアルが違いすぎる!と原作ファンから総スカンらしいので、アニメにしたほうが無難だったのでは。あと、劇伴がうるさい。もともと地味な話だから、音や演出で派手にしようとしているのだろうが、物語の雰囲気に合っていない。

まあ、↓こんなのは誰がやってもファンは「こんなの栞子じゃない」とかブーブー言うに違いないが。黒髪+巨乳+頭脳明晰…って、そんなのできる女優います?
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あと、AKIRAの「えっ!?」と驚く芝居がいちいちアレだなあ。まあ、ワトソン役はあれくらい間抜けでいいのかもしれないが…。Pコート、ダッフル、ボーダーTなどのスタイリングはなかなか良いと思いました。
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最近、ショート丈のダッフルが流行っているが、あれは女子が着るからかわいいのであって、男は着ちゃ駄目だと思う。長すぎるのも野暮だが、このくらいの丈がちょうどいいのではないか(身長の足りないひとはもう少し短くてもいい)。


『八重の桜』は、1話分の密度が前作『平清盛』と比較するとかなり薄いのだが(3話を費やして『おなごが鉄砲さ撃つなんてはしたねえ』話)、このくらいの展開にしないと、そもそも新島八重というひとがそれほど派手なエピソード満載じゃないので厳しいのだろう。今のところ、八重=綾瀬はるかのキャラクターは大河というより朝ドラに近い。「おなごが新聞記者になるなんて」な話だった斉藤由貴の『はね駒』あたりを思い出す。

アメリカの南北戦争が終わって不要になった銃が日本に一気になだれ込んでくる、という状況は、戦後、原子力という「最新技術」が一気に日本になだれ込んできた様と同じだといえるだろうし、福島・会津を舞台にしている点からも、明らかに「銃という最新技術=原発という最新技術」とをダブらせて描いている。新しい技術への憧憬と、それによってもたらされる悲劇、犠牲になるひとたち…。

さらに、「幕府=中央の政治」に翻弄される福島・会津という構図は、当然ながら中央の電力供給のために地方に原発を設置してきた戦後日本の政治のありようとダブらせている。最終的には、そこで発揮された福島のひとたちの我慢強さみたいな話にしたいのだろうが、そこはやはり悲劇は悲劇として、あまり美談寄りにはしないでほしいという気持ちもある。


『サキ』も一応見続けているが、サスペンスとしての緊張感はやや不足。殺される(であろう)男たちが、今のところあまり嫌な奴には見えないので、単にサキが頭のおかしい女にしか見えないのだが、これから男たちとサキとの過去の関係性が明らかになるのだろう。男側の俳優がいまひとつパッとしないというのも、サスペンスを推進する上でネックになっているような気もする。今のところ、「こんなことで殺されるなんて理不尽だ」でも「こんな酷い奴は殺されて当然」でもない。


『dinner』2話。よくある話だが、結構面白く見ている。料理の才能やひらめきはあるが空気を読まない唯我独尊な料理長(江口洋介)と、腕は二番手だが真面目な努力家で下の人間からは嫌われないタイプの副料理長(松重豊)の二人は、ホームズとワトソンというか、モーツァルトとサリエリの関係というか。でも、「いい料理をつくりたい」という思いは一致しているので、人間性の違いを飛び越えて結託してしまうあたりが見ていて気持ちがいい。イタリアンもワインもこれだけ日本に浸透しているんだから余計な説明やウンチクをこれ見よがしに入れる必要もないでしょ、という作り方も好感がもてる。


JR立川駅ホームの名物、おでんそば。さつま揚げ以外にも、がんも、玉子がある。ありそうでないそば。珍しいというだけで、決してめちゃくちゃ旨いわけでは、ない。
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by sakurais3 | 2013-01-25 13:02

ライター・さくらい伸のバッド・チューニングな日々  Twitter saku03_(さくらい伸)


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