屋根裏の夢想者---映画「フランケンウィニー」を観て

今年の映画初めはティム・バートンの「フランケンウィニー」だった。



前田敦子がツイッターで「二回観た」と書いていたことから、「この忙しいタレントがわざわざ劇場で二回も観るのだからよほど面白いのだろう」と単純に思ったものだが、それはさておいても、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」を彷彿とさせるキャラクターによるストップモーションアニメとあらば期待するなというほうがおかしい訳で、映画を観る前から張り切ってユニクロでTシャツなぞ買ってしまうくらい盛り上がっていたのだが、実際に観たらこれが最高だった。
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「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」「シザーハンズ」「バットマン・リターンズ」「エドウッド」「マーズアタック」「スリーピーホロー」の頃の、「ぼくの好きなバートン」が帰ってきた! という感慨。好きにならずにいられない、実に愛すべき作品だった。

本作は、84年、バートンがまだディズニーのアニメーターだった頃に撮ったデビュー作を3Dストップモーションアニメでセルフリメイクしたもの(オリジナルは実写の短編映画)。このデビュー作はディズニーから「暗すぎる!」と言われお蔵入りしてしまったのだが、その後、「ナイトメア~」のビデオに収録され、「バートンの原点」としてファンの間でもよく知られている。

孤独な少年が暗い屋根裏部屋で夢想した物語が、アナログとデジタルの融合によって見事に立体化される。まさに映画監督ティム・バートンの原点であり、映画をつくる・観ることの原点が、ここにある。映画とは、闇の中で夢を定着させる行為だということを再認識させてくれる。

ユニバーサルの怪奇映画をはじめ、ガメラなどの日本の特撮映画へのオマージュも満載。ずっとこの「箱庭的世界」に浸っていたいとすら思える。今まで3Dアニメにはあまり感心したことはなかったが、この「モノクロ+ストップモーションアニメ+3D」という手法はかなり満足のいくものだった。間違いなく、2Dではなく3Dで観るべき映画だろう。ということは、自宅に3Dシステムがないひとは劇場に駆けつけるしかない。急げ!



録画しておいた大河ドラマ「八重の桜」初回を見る。脚本は「ゲゲゲの女房」の山本むつみ。
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オープニングの戊辰戦争のシークエンスの撮影、編集が素晴らしく、開始早々引き込まれる。後から知ったが、「パトレイバー2」「攻殻機動隊」などの押井守作品で知られる掛須秀一が編集を手掛けているという。撮影は、「龍馬伝」「平清盛」で使用したプログレッシプカメラではなく、ソニーの映画用高性能カメラF35を大河ではじめて採用しているらしい。結構デカいので手持ち撮影には不向きらしいが、描写力にすぐれ、王道感のある画が撮れるという。なるほど。

まあ、「おてんばな女の子」のキャラクターを表現するのに、「木の上にのぼらせる」というあまりにも古典的な手法を採用している辺りは失笑するしかないが(『おはなはん』かよ!)、全体を通して「わかりやすさ」に徹底したつくりは、大河史上最低視聴率を記録した「平清盛」への反省なのだろう。

それにしても、坂本龍一のテーマ曲はいいとして、劇伴がちょっとうるさすぎやしないか。見る者の感情をコントロールするかのように、とにかくずーっと音楽が垂れ流されていてうるさいことこの上なし。たぶん「王様のレストラン」とか「ショムニ!」の頃のフジのドラマからの流れだと思うが、「はい、ここコミカルなシーンですよ」「はい、ここ緊迫したシーン」「はい、ここから泣くシーンです」みたいに劇伴で視聴者を誘導する手法はさすがにうんざりするし、圧倒的に古い。

同じNHKでは朝ドラ「純と愛」の中でドラマ好きという設定の余貴美子に「悲しい音楽入れりゃ視聴者が泣くと思ってんのかよ」みたいなことを言わせているわけで。ま、「古くて結構。保守上等。革新に走った清盛がコケちまったんだから、オーソドックスにやるしかねーじゃんよ」ということなのだろうな。

初回視聴率は21%。清盛よりはいいけど、思ったほどではないな、という印象。



デヴィッド・ボウイ66歳がひっさしぶりに新曲を発表した。



プロデューサーは大傑作「ロウ」「ヒーローズ」「ロジャー」の通称ベルリン三部作で知られるトニー・ヴィスコンティ(ブライアン・イーノとの共同プロデュース)。ボウイといえば「レッツダンス」でしょ、とか言うひとは騙されたと思って「ヒーローズ」を聴いてみなはれ。

この新曲は、まさに「あの頃のベルリン」を追想する曲になっていて感慨深い。まだ東西の壁があった時代のベルリン。映画「グッバイ、レーニン」なんかをも想起させられる。

曲調はロバート・ワイアットの悶絶の名曲「シップビルディング」にちょっと似てる。



昨夜はカメラマンI氏がマイホームタウンに来訪。ひさしぶりに飲みまくる。ガキの頃、ウチの父親がよくお土産に買ってきたマイソウルフード「小太郎」の焼き鳥にはじまり、マイセレクションのジャズコンピCDが流れるいつもの蕎麦屋にて極上の日本酒を堪能し、バー的に愛用している串焼き屋で出前のおでんを食らい、最後はご当地ラーメンを食べて解散。ひさしぶりに長丁場の飲みだったが、不思議に今日は快調。楽しい酒は、翌日に残らない。

「飲んだ後ラーメン」の至宝、一麺のラーメン並600円。夜9時くらいからオープンという謎の営業時間。たぶん3年ぶりくらいに食べたが、うまい。まあ、シラフで食べたことはないので正当な評価などできませんが!
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by sakurais3 | 2013-01-09 16:40

ライター・さくらい伸のバッド・チューニングな日々  Twitter saku03_(さくらい伸)


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