主に泣いてる黒のリッチマン・オン・ザ・ラン

七尾旅人のニューアルバム「リトルメロディ」より、「湘南が遠くなっていく」。夏の終わりのせつなさが滲む名曲。




ところで、今期のドラマは見てますか、みなさん。あまり話題にのぼらないような気もしますが、どうなんでしょう。オリンピックで中断されていたりと、かなり不利なことにもなっているのだが、そんな中、オリンピック中継の流れで「梅ちゃん」の視聴率が急上昇らしい。実際、前より面白くなっているという話もある。

ワタクシは7月スタート時に書いた通り、「リッチマン、プアウーマン」と「主に泣いてます」は見続けていて、これに加えて「ボーイズ・オン・ザ・ラン」も初回から見ている、という感じか。

「リッチマン」は、「現代の日本において恋愛ドラマを描くことの困難さ」に真正面から向き合っている。その試行錯誤に視聴者がどこまで付き合うのかが問題だが、普通に見るとよくある韓国ドラマのようにしか見えない、という点も含めて、なかなか評価がしづらいドラマだと思われているような気がする。

しかし、ここには実に多様なモチーフが盛り込まれていて(盛り込まれ過ぎともいえるが)、見る角度を変えるとそのモチーフの見え方も変わるという、月9としてはかなり複雑なことを一方ではやっている。普通の恋愛ドラマというものがもはや成立しなくなったからこそ、「企業と個人」とか「社会と個人」「個人のアイデンティティー」「自分のやりたいことと他人から期待されること」というようなモチーフを引っ張ってくる必要があるのだろう。ここで描かれる恋愛模様はかなり古典的ともいえるが、それを上記のようなモチーフと結びつけることによってどう新しく見せられるのかが問われる。結構、目が離せない。

「主に」は、まぁ馬鹿馬鹿しい話をきちんと手を抜かずにつくると、いわく言い難い独特の世界ができあがる、という見本のようなドラマ。

「ボーイズ」は、「モテキ」のヒットによって通った企画のような気がするが、漫画としては「ボーイズ」のほうが先。ポツドールの三浦大輔が撮った映画版が傑作すぎたので、それと比較すると随分ふつうの話に見えてしまうが、まぁ、あの原作をテレビレベルで描くとこうなるのだろう。原作のエピソードを潰さずによく脚色してあるな、という印象だし、関ジャニのコもアッキーナも平愛梨も青山役のひとも悪くない。

それと、なんとなく流れで「黒の女教師」も見ているが、「勤務時間外の活動は有料」と豪語する女教師が金次第で学園の悪を成敗する、という非現実的な話なので、もっと「ありえねー」くらい突飛なエピソードや展開にしたほうがしっくりくるような気がする。今の学校周辺で起きていることをリアルに描こうとすればするほど、榮倉センセーのキックと「愚か者!」の決め台詞が嘘くさく見えてしまう。先週放送の4話など、もはや全編のストーリーに榮倉センセーはほとんど関係なく、最後に無理やり生徒から金まきあげてキック&愚か者、みたいな展開だった。キャラ的に無理がある榮倉センセーの出番が少ないほうがむしろドラマとしては厚みを増すという本末転倒なことになっている。企画としては悪くないと思うが、やはり配役に難が。
by sakurais3 | 2012-08-14 13:53

ライター・さくらい伸のバッド・チューニングな日々  Twitter saku03_(さくらい伸)


by sakurais3
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31