「BRUTUS」日本のロック&スーツ特集

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東京駅周辺で取材があり、帰路につく前に地下街のbarBAR tokyoで極上の地ビール「TOSHI'S IPA(インディア・ペールエール)」の1パイント1000円を飲む。この店のビールの温度と鮮度はすばらしい。飲み干すと、グラスにきっちりとエンジェルリングが残る。夕方早めの時間帯だったせいか、客はまばら。洞窟のように仄暗いの空間では視覚が遮られ、ビールの味のみが際立つ。

これから1時間ばかり電車に揺られなければならないが、始発駅なので確実に座って帰れるため、余裕である。何か雑誌でも買おうとBOOK GARDENに寄る。「BRUTUS」の表紙のキャッチ「日本のロック♡愛」の文字が目にとまり、中身を確かめずにレジヘ。

なぜこのタイミングで日本のロック特集なのだろうかという疑問が浮かびつつ、ページを繰る。特集のコンセプトや理由づけは正直よくわからないが、とくかく夢中になって一気に読んでしまう。コーネリアスが高橋幸宏と日本のロック/ポップス史を振り返り、水道橋博士が高校の同級生・甲本ヒロトに手紙を書き、木村カエラが御茶ノ水のディスクユニオンで日本の名盤ロックを掘り、みうらじゅんが桂米朝師匠にロックを見い出し、ムッシュかまやつが70歳を過ぎてブルースにハマる理由を語り、ラストはいとうせいこうが忌野清志郎との奇跡をつづる(テリー・ジョンスンA.K.A湯村輝彦のイラスト入り)という怒濤のラインナップ。ページ下の下井草秀作成の日本のロック・トリビアまで、あんこぎっしりのたいやき状態。

音楽雑誌をすっかり買わなくなってしまった者としては(音楽購入のガイドは信頼できるショップの試聴とPOPのコメントのみ)ひさしぶりにのめり込んだ。音楽雑誌にありがちな過剰な持ち上げあるいは過剰な敵意といったものがなく、音楽の楽しさが誌面に満ちているところがいい。

読み進めると、第2特集はスーツ・カタログである。ジャケット+ネクタイにハマる身としては実にタイムリーな企画。その中で、A BATHING APEのNIGOがユナイテッドアローズと協同でスーツブランドを立ち上げたことを知る。どうやらNIGOは近ごろスーツにハマッているらしく、記事中のポートレイトもスーツ&タイだ(スーツと共地のキャスケットを被っているところが「らしい」が)。どうやら、形や生地はあくまでもオーソドックスで、裏地に迷彩柄を施したスーツを展開するらしい。

記事は、「NIGOさん、なぜ今スーツなんですか?」という問いからはじまる。スーツに対して、キテるのキテないのなどと言うのも野暮だが、非・スーツ人間のスーツへの転向は、案外キテるらしい。NIGOいわく、「朝(スーツに)着替えてコーヒーをいれる時の高揚感が違います(笑)」とのこと。その気持ちはよくわかる。ネクタイを絞め、ジャケットを羽織るだけで背筋が伸びる感じがする。たとえば高級ホテルのバーに行っても気後れすることがないし、スタッフの対応も心なしかいいような気がする(それはホテルのバーに限らず、ある程度のレベルのレストランでも同様だ)。

「いちばん保守的だと思うものがいちばん過激かもしれない」とは誰のことばだったか。「BRUTUS」のロック特集とスーツ特集のカップリングを見るにつけ、メンズファッションにおいて、実はスーツは今最もロックなんじゃないか、という気すらする。
by sakurais3 | 2010-02-17 19:52 | 本・雑誌

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