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過去という名の雑誌

年末年始の大掃除で、何にいちばん苦労したかと言えば、それはやはり雑誌の整理だ。

とりあえず、「今まで保存してきたが、さすがにもう必要ないであろう」というものをピック
アップして山をつくり、ある程度のかたまりを紐で縛る。「ある程度のかたまり」にするのは、あまりにも多いとゴミに出す際、重過ぎてゴミ捨て場まで運ぶのが大変だから。

そして、これまで自分が執筆に関わった雑誌類をひとまとめにし、年代順に積み上げる。普通、ライターでもカメラマンでも、自分の文や写真が掲載された雑誌は、その都度、該当ページを切り抜いてファイル等に整理するものなのだろうが、自分は「雑誌というかたち」を壊すのが嫌いなので、そのままの状態で保存している(ここ10年というもの一度もファイルを作っていない)。

自分が関わった雑誌だけでも、さすがに10年分たまるとエラい数になる。よし、2010年とキリもいいことだし、とりあえず2000年から去年までの掲載誌を整理し、該当ページを切り抜いてファイルをつくろう!と思い立ち、この前の連休に着手したのだったが、簡単に考えていたこの作業に、思いのほか時間をとられることとなった。いやあ、さすがに10年分の分量はすごい。無印の60ポケットのクリアファイルを、とりあえずと思い4冊買い、切り抜いたページを入れていったのだが、4冊がフルになった時点でまだ半分にも満たない。

掲載誌を切り抜いてファイルをつくり、自分の作品でも眺めるように繰り返しページをめくるなどという後ろ向きな行為はなかなかに薄ら寒い気がするので、いままで避けてきたのだが、こうして自分の書いたページだけをひとつにまとめてみると、単純にその物量に圧倒される。「ああ、仕事してきたんだなあ俺」と、ある種の感慨のようなものが込み上げるのは事実だ。

さらに、いままで、来るものを拒まずで仕事をしてきたと思っていたのだが、こうしてファイルに整理してみると、ひとつの流れというか、関連するテーマなりトピックというべきものがあることも見えてくる。大きく分類すると、住・食・旅・本・映画・漫画・音楽が、この10年間の仕事のテーマになっているのだが、それはこちらが選んだのではなく、仕事を発注してくれた編集者が、「これをさくらいさんに頼もう」と考えてくれた結果なのだ。だから、10年分のファイルを眺めて思うのは、それぞれの記事を自分に発注してくれた編集者に対する感謝である。発注がなければ、これらの仕事に自分は携わっていないだろう。

自分の書いた文章を読み直すことなど、よほどのことがなければしないし、掲載誌が送られてきても、読むのはむしろ自分のページ以外だ(自分のページは既に何が書かれているのかわかっているのだから)。というような10年を過ごしてきて、はじめて自分の書いたページを通して読んでみたら、これがなかなか興味深かった。10年前のものなど、もっとヒドいんじゃないかと思っていたら意外とちゃんとしている、とか、こんなに主観で書くのを許してくれた編集者は懐が深かったな、とか、この取材で感じたことが個人雑誌「リトル・マグ」の企画に反映されたんだな、とか。それにしても、この10年、取材で会った人で、嫌な人というのがほとんどいないというのも、考えてみればすごい(いても1、2名だ)。会えば、大抵がいい人だし、面白い。

つねに後ろ向きな人間や、自分が黄金期だった(と信じる)頃の音楽やファッションにいまだに執着しているような人は嫌だが、たまに自分の過去と向き合ってみるのも、悪くない。それこそ10年に1度くらいなら、ね。
by sakurais3 | 2010-01-14 16:12 | 雑記

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