吉祥寺流浪な夜
2009年 11月 29日
一軒の小ぢんまりとした居酒屋を見つけ、当てずっぽうに入ってみることに。○太郎という店名の場合、大抵頑固オヤジがしっかりものの嫁さんと切り盛りするパターンが多いものだが(明らかに偏見です)、この店もまさにそんな店だった。
刺身や煮物、なぜかスープカレーなど5種類で1000円という「おつまみセット」とやらを頼み、キンキンに冷えたヱビスビールで乾杯。刺身は目鯛とまぐろの中トロだ。ビールを飲み干し、壁のメニューを見ると、日本酒の名酒があれこれ。ある銘柄の初しぼりがあるというので(もうそんな季節か)、それをいただく。
隣の席には常連とおぼしきオヤジ客が次々と集結。テーブルの真ん中には金目鯛の煮付けがドンと置かれ、旨そうに湯気をあげる。羨ましいが、メニューにはない一品のようだ。
店内が混み合ってきたので新参者はサクッと立ち去ることにして、別の店を探す。
しばらく路地を歩いていると、雰囲気のよさそうなビストロを発見。半分が立ち飲みスペースで半分は落ち着いた感じのテーブル席だ。立ち飲みも捨てがたいが、常連スペース風なのでテーブルに。ワインは、Oさんが軽めの白、自分はどっしり系の赤をそれぞれ頼む。完成度の高いポテトサラダ、金目鯛と旬野菜の蒸し物をつまみに。金目鯛は、さっきのリベンジだ。
Oさんとは10ほど年齢差があるが、いつ会っても話題にはことかかない。ワインも美味しく、時間はあっという間に過ぎる。
ふと、奥のテーブルを見る。ん?どこかで見たことのある人がいる。占星術の鏡リュウジさんだ。
どうやらこの店の常連らしい。テーブル席で連れの人と話をしていたところを立ち飲みスペースの常連に呼ばれ、輪に加わっている。
じつは、鏡さんとは15年くらい前に一度ある人を介して会ったことがある。が、さすがに覚えてはいないだろうと思い、挨拶はしなかった。プライベートで飲んでるところを邪魔するのも不粋だろう。
店を出て駅まで歩いていると、カウンターバーらしき店の前でOさんが「美女がひとりで本読んでますよ」とつぶやく。じゃあ、締めにもう一杯だけ飲んでいくことにしようじゃないかということになり、店内に。
カウンターで文庫本を読む女性(Oさんいわく「間違えました」だと)ひとりしか客はいない。メニューを一通り見ると、カウンターのみの店にしてはかなり本格的なフレンチを出す店らしい。チャージはない。こちらの腹もいい具合だし閉店間際だというので、キーシュと野菜のマリネを頼み、赤ワインを。
カウンターの隅で本を読む女性は微動だにしない。こちらの席には会計の伝票が置かれ、マスターが閉店の時間をさりげなく伝えるのだが、その女性の前に伝票は置かれない。うーむ。
店を出てから、「あれはマスターの女に違いないな」との結論でOさんと意見の一致をみる。いろいろあるなぁ飲み屋の世界は。
しかし、店としてはなかなか興味深いので、早い時間に再訪したいぞ。