金色の翼
2007年 07月 26日
原作は「ねじの回転」等で知られるヘンリー・ジェイムスの「鳩の翼」。小型飛行機でしか行き来のできない南海の孤島に建つリゾートホテルを舞台に、大富豪の遺産300億ドルを手にした未亡人と、その遺産を手に入れようと画策するホテルの従業員や滞在客とのかけひきが描かれる。「華麗なる一族」の予算の数分の1でも使えたならば、それなりにゴージャスにつくれ込めたであろう高級リゾートホテルのセットはあくまでコントレベル。吸血コウモリと呼ばれた未亡人を演じる国分佐智子の存在感によって、かろうじて高級リゾートホテル感が保たれている。
元「ワンギャル」の国分佐智子も早30歳。「私にとっては千円も1千万円も同じなの」などと口走って失笑を買わずに済んでいるのは、国分のもつ、ある種の「品」のようなもののおかげだろう。決して肉感的ではないのにエロティック、そこはかとない儚さをも漂わせ、もしこの役を杉本彩あたりが演じていたらまるで別の世界になってしまうのだろうなあとおもわせるに十分であり、つまりは適役なのだ。
以前、当ブログでも書いたが、美男美女にコミカルな役やズッコケキャラをやらせて視聴者の共感を得るのがパターン化している昨今のドラマ界にあって(EX:「ホタルノヒカリ」の綾瀬はるか、「壁おんな山おんな」の伊東美咲等)、美女がそのまま美女の役を演じて成立する昼メロの世界は、「金色の翼」の舞台である南海の孤島のように、世間なるものから見事に乖離し、独特のポジショニングを獲得しているといえる。
B.G.M 「ポリリズム」パフューム