気まぐれミニコミ夜話・第1夜 「酒とつまみ」をおつまみに
2006年 05月 24日
などと他人事のように書いているが、そのトークライブのナビゲーター(って言葉はまだ有効なのか)をつとめたのは何を隠そうワタクシさくらい伸でありました。えへ。この店に、さくらいの個人雑誌「リトル・マグ」を置いていただいているのだが、先日これまで売れた分の精算に伺った際、店主のHさんにまあお掛けになってかなんか言われてコーヒーをいただき、いつしか「ミニコミつくっているヒトたちって意外と横のつながりがないよね」的な話になり、あれよあれよという間に「ミニコミに関するイベント」をやることになり、しかも自分が司会進行のようなことをやるハメになってしまったのだった。仕事がら、著名人であろうと素人さんであろうと、誰かの話を聞き出すことにためらいはないが、それを公開でやるとなると、少々勝手が違う。観客にもわかるように会話を進めるのは、それなりに気をつかうだろう。断わろうか、ともおもったのだが、まあこれも何かのタイミングかもしれん、とおもい直し、深く考えずに引き受けることにした。
以前から、ラジオ、とりわけ深夜ラジオというものになぜか心ひかれるものがあった。先日インタビューさせてもらったイラストレーターの中村佑介さん(アジアン・カンフー・ジェネレーションのジャケでおなじみ)は、「ともだちのいないコにとって、ラジオっておともだちなんですよ」と言い、みずからもネットラジオを毎週更新しているのだとか。ラジオにひかれる自分も、果して「ともだちのいないコ」なのだろうか。などとおもったが、ただダラダラとつづくおしゃべりの合間に自分の好きな曲をかける、という深夜ラジオのようなことを、いつかどこかでやれないものか、と、人知れず夢想していたのもまた事実である。それがひょんなことから実現した。もちろんこれはラジオなどではなく、単に少数の人たちを前にしゃべる「町内会の催し」のようなものなのだが、自分のなかでは「気分は生放送の深夜ラジオ」なのだ。
イメージしたのは、遥かむかし、片岡義男がFM東京(現TOKYO-FM)である時期毎週やっていた「気まぐれ飛行船」という角川書店一社提供の2時間番組である。片岡氏が、黒髪センター分けのアンニュイな雰囲気をたたえる女性アシスタント(ラジオだから顔は見えないが間違いなくそうだ)に、低い声で訥々となにやらを語り、時おり自宅のレコードラックからひと掴みしてきたらしい旧いジャズやポップスをかける。自分はまだほんのガキんちょだったが、そのアダルトなムードにヤラれ、よくテープに録音して繰り返し聴いたものだ。角川書店の「野生時代」と「バラエティ」という雑誌に勢いがあった頃だと記憶している。その番組へのオマージュのつもりでやれば、これは自分も楽しめるのではないか、とおもったのだが、まあ現実はそうきれいにはいかない。片岡義男と言うよりは「夕ニャン」の片岡鶴太郎のようになってしまった。いや、意味がわからない人は無視して倉田まり子。
かくして「お遊戯ラジオcafe〜気まぐれミニコミ夜話」と題したトークライブの第1夜は、実に8千部も刷るおばけミニコミ「酒とつまみ」の編集発行人、大竹聡さんと編集スタッフの渡邊和彦さん、そして、ミニコミにも力を入れる神保町の書店「書肆アクセス」店長の畠中理恵子さんをゲストに迎え、「『酒とつまみ』をおつまみに(仮)」のタイトルで開催されることになった。当日の模様はテープに採ってあるが、ゲストの許可は必要だが、いずれどこかに発表しようとおもっているので、ここで内容については書かないことにする。参加者からは、「面白かった」「すばらしい進行」などとお褒めのことばをいただいた(当然お世辞もあろうが)。個人的にはいろいろ反省点もあるのだが、まあ初回にしては滞りなく終わったのではないだろうか。ただし、家であーでもないこーでもないと選曲したCDを流してもらうタイミングが難しく、最初の2、3曲くらいしかまともにかけることができなかったのが心残り(CD担当のOさん、キュー出しうまくいかずにすまん)。しかし、参加者は音楽を聴きに来ている訳ではないのだからして、あれくらいでちょうどよかったのかも。
ちなみに、当日の選曲リストは以下のとおり。ある参加者のブログには「大貫妙子やトッド・ラングレンなど、良質のポップスを中心とした音楽も、いい感じでした」とのコメントも。曲紹介もしてないのに、さすが高円寺。
オープニング「ポリック」ao
●大貫妙子 「海と少年」
●James Taylor 「ONE MAN PARADE」
●Everything but the girl 「My head is my only house unless it rains」
●Todd Rundgren 「A DREAM GOSE ON FOREVER」
●DONOVAN 「TRUDI」
●DR.JHON 「BIG CHIEF」
●ハナレグミ 「ティップ ティップ」
●湯川潮音 「あのこのうた」
エンディング
空気公団 「田中さん、日曜日ダンス」